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世界にブドウの種類はどれぐらいあると思いますか?
ブドウの品種は非常に多く、醸造用や食用、野生も含めると世界になんと1万種類以上あるといわれています。
その中で、醸造用ブドウは数百種類以上に及びます。さらに、品種改良や交配によって、日々新たな品種も誕生しています。
今回はその中で白ワイン用のブドウの品種について、紹介します。
白ワイン用のブドウは、大きく2つに分類されます。
ひとつは「白ブドウ」で、ブドウの果皮が黄緑色のものです。
白ブドウは赤ワインに使用される「黒ブドウ」と違って、赤いアントシアンをほとんど含みません。そのため、フラボノイド色素が発色して黄色みを帯びた色になります。また、ポリフェノール類の合有量が少ないため、渋味が少ないのが特徴です。
もうひとつは「グリ(フランス 語で灰色の意味)」と呼ばれる黒ブドウを使用して作られる白ワインです。グリのワインは、白ワインより若干ピンクやオレンジ色を帯びた色合いになることがあります。最近は「オレンジワイン」と呼ばれることもありますが、通常白ワインのジャンルとして扱われます。
実は一部の地域では黒ブドウを使って白ワインを造ることがあります。ですが、色素が移らないように圧搾するため、見た目は白い果汁です。
白ワインは赤ワインと比べ、渋味が少ないため、赤ワインの渋味が苦手な方も「白ワインなら飲める」という人も多いでしょう。
そんな白ワインの味わいの最大の特徴は、スッキリした酸味です。
ブドウが成熟するするにつれて、有機酸の合有量は減少します。そして、完熟を過ぎると香気成分が減少し、フレッシュ感が損なわれてしまいます。収穫時期に注意を払う必要があります。
白ワインの代表格の品種です。産地や気候、造り手によって味が大きく変わります。シャルドネ種は適応力が高いため、様々な土地で生育しやすく、フランス、イタリア、スペインをはじめ、アメリカ、オーストラリア、チリ、アルゼンチン、南アフリカ、ニュージーランド、また日本でも栽培されています。
フルーティーでフレッシュな味わいから、料理はあっさりしたものがおすすめです。例えば、フレッシュなサラダ、肉料理なら鶏肉、またお寿司や刺身など、和食にもおすすめです。
フランスをはじめ、南アフリカやチリ、カリフォルニアなど世界中で広く栽培されています。
ハーブや柑橘系の香りを連想させ、フレッシュでシャープな酸味が特徴的です。一般的に辛口タイプのワインに仕上がります。料理は、ワインの爽やかさを活かして、フレッシュなサラダ、白身魚のカルパッチョ、またレモンと相性が良いため、レモンを合わせる料理もおすすめです。
ドイツを代表する品種です。極甘口から辛口、さらには発泡性と様々なワインが造られます。
しっかりとした酸味があり、白い花や洋梨、蜂蜜などのほんのり甘い香りが特徴です。
料理は、甘口や辛口によって相性が変わりますが、辛口の場合はソーセージやベーコンなど豚肉料理が合います。甘口はデザートと一緒に合わせると良いでしょう。
フランスのロワール地方が主な産地です。爽やかな辛口から極甘口の貴腐ワインまで、幅広いワインが造られます。引き締まった酸味と、アカシアの花やメロンのような甘い香りを持ちます。熟成するとよりリッチな香りになり、複雑な味わいへと変化します。ロワール以外では、南アフリカでも栽培されています。
料理は、スッキリとした味わいなため和食に合わせやすいでしょう。
ミュスカは英語で書くとMuscat(マスカット)で、いわゆるマスカット系統のブドウです。あまり酸味が豊富ではないため、軽い辛口〜甘口のワインが造られます。香りはマスカットやメロン、そして華やかさがあります。ジューシーな味わいが特徴です。
料理は、辛口の場合は野菜との相性が良いので、オードブルやサラダがおすすめです。甘口の場合はチーズ系スイーツとよく合います。
主な産地はフランスのボルドーで、ソーヴィニヨン・ブランとブレンドされることが多い品種です。辛口ワインから、甘口のデザートワインまで、幅広いワインが造られます。蜂蜜やアプリコットの香りと、穏やかな酸味があるのが特徴です。
料理は、香りにクセがないので、白身魚、豚肉などと好相性です。
フランスのアルザスやイタリアでの栽培が有名ですが、近年世界各地で栽培が拡大しています。白ブドウの中では、特に豊かなボディと果実味を持ちます。酸味は落ち着いていて、まろやかでコクがあります。桃屋ナッツのやわらかい香りとスモーキーな風味が特徴です。
料理は、豚肉や鶏肉料理と相性が良いです。中華料理もおすすめです。
主な産地はフランスのアルザスです。ドイツ語で「スパイス」の意味で、ライチや桃、アプリコットなどの甘い香りとボタンやバラの香りを持ちます。辛口から甘口のデザートワインまで、幅広く使われます。料理は、スパイシーな風味があるためスパイスを使用した魚や肉料理、カレー風味の料理がよく合います。
ピノ・グリからの変異種で、フランスのアルザスが発祥と言われています。強い酸味と、ハーブや柑橘系の爽やかな香りが特徴で、軽やかな辛口ワイやスパークリングワインが造られます。単一よりもブレンドで使用されることが多いため、あまり品種名は知られていません。
料理は、野菜や魚料理はもちろん、さっぱりとした肉料理や卵料理もおすすめです。
フランスのローヌ地方をはじめ、南フランスやオーストラリなどで栽培されています。香りが特徴で、アカシアやオレンジの花の香りを持ちます。エキゾチックな果実味があり、酸味は穏やかでコクがある味わいです。料理は、ピリ辛系の中華や、エスニック料理、またブルーチーズなどの少しクセのある食材とも相性が良いです。
オーストラリアの固有品種で、日本ではあまり知名度が高くない品種ですが、日本食との相性が良く、これから注目が高まっていくと期待されています。白胡椒やペッパー香があり、だいたい辛口ワインとして造られることが多いです。フレッシュで、キレのある酸味と強いミネラル感が特徴です。料理は日本食や、魚介料理と相性が良いです。
フランスのロワールが原産で、マスカット、グレープフツルーツ、ハーブなどの淡い香りを持ち、軽く、さっぱりとした味わいの辛口ワインになります。
料理は、魚介類との相性が良く、中でも牡蠣は生でも焼いてもミュスカデの爽やかな酸味が相まって相性抜群です。
フランス語ではユニ・ブラン、イタリア語ではトレッビアーノと呼ばれています。世界各地で栽培されており、評判が高い品種です。酸味が強く、多くはブレンド用として使われ、柑橘系の爽やかな香りとフルーティーな味わいのワインが造られます。また、ブランデー造りにも使われています。コニャックやアルマニャックの原料として有名です。
イベリア半島が原産で、今も原産地がメインの品種です。産地はほぼスペインのガリシア地方かポルトガルのミーニョ地方と限定されています。
ジューシーな桃を連想させるリッチな果実味と、華やかな香りが特徴です。キレのある酸味と海の塩を連想させる味わいがあり、魚介類の料理と相性が良いです。
山梨県を中心に栽培されている日本を代表する固有品種で、生食用も兼ねています。一般的な白ブドウと比べると果皮が厚いため、果皮由来の成分が多く含まれています。
フレッシュな柑橘系の香りと軽やかで穏やかな酸、そしてすっきりとした後味が特徴です。
料理は繊細な味付けの京料理、和食と相性が良いです。
今回は白ブドウの品種ごとにそれぞれの特徴があることを紹介しました。
どのブドウを使うかで味わいや色、香りが変わります。
同じ品種でも、産地が違えば味わいも変わってきますので、一概に今回ご紹介した内容が当てはまるわけではございません。あくまで傾向として、ご理解いただけると幸いです。
ぜひワイン選びに役立ててみてくださいね。
ワインの人気が高まっています。国民一人当たりのアルコール消費量が年々減少する中、ワインはこの30年で約4倍に消費が増えました。とはいえ、アルコール全体で言えば、果実酒のシェアが4.4%ですから、ビールやハイボールに比べると、随分少なく感じます。
そんなポジションのワインですが、世界中で生産されるワインは、種類も豊かで、食事を楽しむあらゆるシーンで、ごはんをもっと美味しくしてくれる魅力に富んだお酒です。
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