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2020年7月22日

旧世界ワインと新世界ワイン、そして古代世界ワインとは?

ワインショップなどで、「新世界ワイン」や「ニューワールドワイン」という表記を目にしたことがある方もいらっしゃると思います。

簡単に言うと、ワインの生産の歴史が新しい生産国を「新世界(ニューワールド)」と呼び、それに対してワインの歴史が古い生産国を「旧世界(オールドワールド)」と呼びます。

ワインは極端な話、ブドウを絞れば自然に発酵が始まってワインになるため、シンプルな造り方の分、気候や土壌など、そのブドウが育った環境を反映させやすいという特性があります。

そのため、ワイン選びの際は、ブドウの種類ももちろんですが、そのブドウが育った国や地域の気候、土壌の特徴、さらには醸造や熟成方法を理解する必要があると言えます。

ワインの特性や傾向を生産国ごとに覚えようと思っても、それすら膨大な国の数になるため、途方に暮れそうになりますが、まずは、ワインの生産国を2つのグループで分けるとして、「旧世界」と「新世界」という表現を理解してみてはいかがでしょうか?

旧世界(オールドワールド)の生産国と特徴

旧世界(オールドワールド)の生産国と特徴

旧世界ワインの生産国

  • フランス
  • イタリア
  • ドイツ
  • スペイン
  • ポルトガル
  • オーストリア

特徴

オールドワールドのワインは、伝統産地で作られるワインで、何世紀も前から培われたワイン造りの伝統を守るスタイルです。熟成こそが真価を発揮すると考え、郷土料理を引き立てる役割に重きを置いています。
オールドワールドのラベルは、ブドウの品種が書かれていない場合があります。それは、ヨーロッパでは、産地の情報で何のブドウ品種かわかるという前提があるためです。ワイン初心者にとっては、敷居が高く感じてしまうかもしれません。

ワインの傾向としては、アルコール度数は低く、オーク香はマイルドで、赤ワインのタンニンはしっかり感じられるワインが多いです。

※ブドウの品種、また醸造スタイルによってワインの味わいは異なるため、一概にこれらの内容が当てはまるわけではございません。

新世界(ニューワールド)の生産国と特徴

新世界(ニューワールド)の生産国と特徴

新世界ワインの生産国

  • アメリカ
  • オーストラリア
  • ニュージーランド
  • チリ
  • アルゼンチン
  • 南アフリカ
  • 日本

特徴

ニューワールドのワインは、第二次世界大戦以降に本格的に台頭したワイン生産国です。オールドワールドでは、1ヘクタールの違いでも、銘柄の区分を行いますが、ニューワールドはそこまで細かい地域割りをしません。細かい地域の情報よりも、ざっくりとわかりやすさを重要視する傾向があり、ラベルにはブドウ品種が名前になっているケースも多いです。
ボトルはモダンで、スクリューキャップを導入しているワインがよく見られます。オールドワールドではまだスクリューキャップは浸透しておらず、コルクの栓が主流です。スクリューキャップはひねれば開けられますので、その手軽さから商業向きのワインと言われていたりもします。

ワインの傾向としては、アルコール度数が高めで、果実味が強かったり、オーク香が強く感じられるものが多いと言われています。

※ブドウの品種、また醸造スタイルによってワインの味わいは異なるため、一概にこれらの内容が当てはまるわけではございません。

味わいやスタイルにも適用されるグルーピング

味わいやスタイルにも適用されるグルーピング

このグループ分けには、ワインの味わいやスタイルにもその傾向があるといわれます。

旧世界のワインは、果実味と酸味のバランスが良く、ミネラルやハーブなどを表現するような複雑性があり、エレガントなワインが多い傾向にあります。

対して、新世界ワインは、気候的にも暖かい傾向にあるため、完熟した果実味やジャムっぽい要素、アルコール感もやや高く、オーク樽由来のニュアンスも強く出ていたり、力強いパワフルな印象を受けるものが多くあります。

また、単一品種のワインが多いという特徴もあります。ブドウの品種による個性から味わいをイメージしやすいため、初心者でも好みのワインを見つけやすいというメリットがあります。

ヨーロッパと比べると、産地ごとの個性はそれほど確立しておらず、詳細な地域の記載がないケースも多いです。一方で個性的なワイナリーが続々と現れ、ワイナリー名を目立たせているものも増えています。

もちろん、産地や生産者の醸造方法にも様々なものがあり、旧世界のワインながら、フルーティーで完熟した要素を強く表現するものや、新世界ワインでありながらも、適度な酸味とミネラルを表現するようなエレガントなものもありますので、「旧世界」と「新世界」の違いはあくまで、一つの指針として理解ください。

近年注目されるAncient World(古代世界)

近年注目されるAncient World(古代世界)

ワイン業界にとって一般的となった新世界と旧世界の2つのカテゴリーですが、近年、3つ目のカテゴリーが加えられようとしています。

そのカテゴリーの名は、「Ancient World」。

まだ、日本ではどのように翻訳するか、まとまってないようですので、ここではそのまま直訳しまして、「古代世界」とでも名付けましょうか。

古代ワインとは、その名の通り、紀元前の時代から、ワイン造りをはじめていた地域のことで、今も原始的なワイン造りを行っている国々を指します。

古代世界の生産国

  • ジョージア(紀元前6000年代)
  • レバノン(紀元前5000年頃)
  • アルメリア(紀元前4100年)
  • トルコ

西アジア(中東)にある国々を指し、このような古代オリエント各地で造られたワインは、メソポタミアやエジプトでも広がり、ギリシャ神話や聖書にもそれらの記述が見られます。

西アジア諸国は地中海性や大陸性の気候で、ブドウの生育に理想的な地で野生のブドウがこれらの土地で育っていたようです。

これらの国々では、例えばアンフォラ(クネヴリ)と呼ばれる素焼きの甕(土器)を使用してワインが造られたりしています。

古代エジプトでは赤ワインが主に飲まれていたようですが、ツタンカーメンの墳墓から出土したアンフォラは白ワインのものだったようです。

まとめ

旧世界は「産地」を重要視し、新世界は「ブドウの品種」がチェックポイントと言ってよいでしょう。

それぞれ味わいの傾向も異なりますので、飲む人によって好みの分かれるところではあるかと思いますが、人それぞれ好みがわかれるところも、ワインの楽しみの一つです。

「旧世界」「新世界」「古代世界」、この3つの世界のワインを飲み比べて楽しんでみるのもいかがでしょうか。

企画:ワインノート編集部
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