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ハロウィンも終わりまして、いよいよ冬の訪れという雰囲気ですね。
さてさて、今月は「日本で一番ワインが消費される」日といっても過言ではない「ボジョレー・ヌーヴォー」の解禁日があります!
世界中のワインファンがこの日を待ち望んでいます!
解禁日は、毎年11月の第3木曜日。
今年は19日です!
平日にも関わらず、前日の深夜0時を回って「乾杯!」なんてのも、ボジョレー・ヌーヴォー全盛の時は行ったものです。
今となっては、日常的にワインを楽しむことが多くなりましたので、「解禁日だ!」という雰囲気はなくなってきましたが、ワインラヴァーとしては、やはりこの解禁日にヌーヴォーを飲んでおきたいものです。
というわけで改めまして、ボジョレー・ヌーヴォーというのは、どんなワインなのか?というのが今回のお話しです。
「ボジョレー(Beaujolais)」とはブドウの生産地の名前。
これは、フランスの中央部やや東寄りの地域で、ブルゴーニュ地方と美食の町「リヨン」の挟まれた地域です。
「ヌーヴォー(nouveaux)」は、フランス語で新しいという意味。
つまりこの場合は「新酒」を指します!
ボジョレー・ヌーヴォーとは、「ボジョレー地方でとれたワインの新酒」という意味なんですね!
ただ新酒と聞くと、どの地域でもありそうなものですが、ボジョレー・ヌーヴォーは、「その年に採れたブドウ」を使用して造られるというのがポイントです。
ワインというのは、ふつう樽でじっくり熟成などして1年ほどじっくり時間をかけて造られるものなのですが、ボジョレー地区では毎年9月半ばにブドウを収穫し、そこからなんと2か月ほどのうちにワインとして販売されます!
それはボジョレー・ヌーヴォー特有の造り方と品種に秘密があります。
ボジョレー・ヌーヴォーには、毎年「ここ10年で一番の出来!」というような言葉が踊るのですが、、
「このブドウの出来を占う」というのがなかなか難しいものです。
去年のヌーヴォーの味がどうだったか思い出せない、、というのはよくあることですね。
しかしながら、私がソムリエとしてボジョレー・ヌーヴォーをお出しした時に、昔よく聞いた言葉は「ボジョレー・ヌーヴォーは美味しくない!」「甘すぎる!」「軽い!」などなど。
悲しいお言葉の数々。
そんな中、一人のボジョレーラヴァーとして皆様にお伝えしたいことは、
ボジョレー・ヌーヴォーというのは「美味しくない」ではなく、
樽でじっくり熟成させるタイプの赤ワインとはまったくの別物で、
造り方や味わいはもちろん、楽しみ方も異なるということです!!
ボジョレー・ヌーヴォーに使用するブドウは、「ガメイ」という品種で、ボジョレーが最大の産地です。
ガメイは寝かせず早飲みに適した品種で、赤なのに渋みが少なく、バナナのような甘く華やかな香りとあふれる果実味が特徴です。
この「ガメイ」、実はワイン好きの中では密かなブームがあるブドウ品種。
ガメイ愛好家のことを「ガメラー」というほどです。
「ガメイ」の特徴を活かすために、「マセラシオン・カルボニック」という製法で造られます。
これはブドウを潰さず、丸ごと密閉タンクに入れ、その中を炭酸ガスで満たした状態で数日置くと、美しいルビー色へと変わってフレッシュな果実味が余すことなく引き出されます。
また、このときにヌーヴォー特有の香りであるバナナやキャンディーのような香りも現れます。
こうして約2か月ほどで造り上げます。
皆様にお伝えしたいことは、ボジョレー・ヌーヴォーの「個性」に気づいていただきたいということ。
フルボディのワインが好きな方にとっては、ボルドーのほうが好みでしょうし、繊細でエレガントなワインがお好きな方にとっては、ブルゴーニュのほうがいいでしょう。
ですが、「ボジョレー・ヌーヴォーは軽くてフルーティなところが長所のワインなんだ!」と頭にインプットしたうえで飲んでいただくと、意外に楽しめるものなのです。
そして、毎年のブドウの出来を占うというところもボジョレーの面白いところ。
ブドウの質の良し悪しがワインの味わいにダイレクトに反映されるので、その年のワイン全体の出来栄えを占う指標にもなります。
ボジョレー・ヌーヴォーがおいしければ、その年のフランスワイン、とくにブルゴーニュワインは大いに期待されます。
また、毎年同じワイナリーのボジョレー・ヌーヴォーを飲むようにすると、その年々の違いがわかってきたりもして楽しめます。
そしてできれば誰かと一緒に飲んで楽しむのがおすすめ!
「去年より味が濃い?酸っぱい?甘い?」と意見交換しながら飲むと、より記憶に残ってワインへの理解も深まりますよ。
皆様も是非、家族や仲間とボジョレー・ヌーヴォーをお楽しみください!
ワインの人気が高まっています。国民一人当たりのアルコール消費量が年々減少する中、ワインはこの30年で約4倍に消費が増えました。とはいえ、アルコール全体で言えば、果実酒のシェアが4.4%ですから、ビールやハイボールに比べると、随分少なく感じます。
そんなポジションのワインですが、世界中で生産されるワインは、種類も豊かで、食事を楽しむあらゆるシーンで、ごはんをもっと美味しくしてくれる魅力に富んだお酒です。
ワインノートでは、もっと気軽にワインを美味しく楽しんでいただけるよう、ワインの基礎知識をはじめ、美味しいワインの情報をご提供いたします。