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2020年7月10日

テロワールがワインの味と個性をつくる

テロワールがワインの味と個性をつくる

テロワール(Terroir)はフランス語で、ワインの材料となるブドウができるまでの、ブドウ畑・土壌・気候・標高・地形など、ワインの個性を決定する自然環境要因全体を示す言葉です。

ワイン法AOCとフランスワインの品質」で、ワイン法の背景を説明しましたが、フランスワインの信頼を取り戻し、ワイン産業を守るためにA.O.C.(原産地統制呼称法)が定められました。

A.O.C.における、ワイン産地の個性を明確に区分し、その個性を守るという基本的な考え方の源が、「テロワール」に由来するといってもよいでしょう。

テロワールの構成要素

(1)テロワールの地理的条件

【気候】
大陸性気候、海洋性気候など、その地域において1年を通じて周期的に繰り返される大気の状態の相称で、ワイン産地の気候は以下に分類される。

  • 平均最低気温、平均最高気温
  • 平均降水量
  • 乾燥、寒冷、冷涼、温暖、高温などブドウ作りに影響をあたえる、気温に関係する空気の性質
  • 霜、雹、雷雨などの天災リスク

【標高】
標高によってブドウ栽培の環境は大きく変化します。

  • 太陽光の強弱
  • 斜度による水はけや土壌の肥沃状態
  • 斜面の向き
  • 風通し
  • 寒暖差
  • 季節による気温差

気候と同様に、ブドウの栽培品種を決定づける重要な要素となる。

【土壌】

ブドウの木

ルーブル博物館から歩いて10分ほどにあるレ・カーヴ・デュ・ルーブル(Les Caves du Louvre)ワイナリーに展示してあるブドウの木をみると、地中深くを目指し、下へ下へと根を張っている様子がよくわかります。ブドウは土地が肥沃だと地表付近で横に根を張り蔓ばかりのびてブドウの実が濃縮されません。

逆に、ブドウの木は痩せた土地で地中深くに根を張り巡らせた木ほど、上質なワインをを作り出すブドウが実ると言われています。
標高と斜面、地表付近の栄養状態等の条件によって、ブドウの木は地中深くのミネラルを求めて深く根をおろしてゆくのです。その、土壌の性質によってワインの個性・性質が大きく変わって行きます。

  • 粘土質な土壌:厚みのある、オイリーでタンニンが豊か
  • 石灰質   :華やかな酸味と繊細さ
  • 片岩質   :ミネラルが多くすっきり
  • 花崗岩質  :柔らかくバランスが良い
  • 泥岩質   :しっかり力強い
  • 火山岩質  :スモーキーな香りと深みがある

(2)作り手がテロワールの力を引き出す

テロワールが秘めている魅力を引き出すのが人の力となる。

  • 栽培品種の選択とブドウ栽培
  • 最適なワイン醸造法

こうしてつくられたテロワールの代表的なワインが、ブルゴーニュなどに代表されるフランスの高品質なワインとして有名です。特にフランスのワインは、テロワール主義がしっかりと根付いており、A.O.Cはそれをしっかりと反映していますので、ワインのエチケット(ラベル)を見てみると誰がどこの産地で作ったのか?がわかるようになっています。

日本にもテロワールはあるの?

日本でも2018年10月に法改正があり、日本で生産されたブドウを100%原材料としたワインを「日本ワイン」と呼ぶようになりました。
あわせて産地呼称のルールも、その土地のブドウを85%以上使用していないと産地名表記ができないよう厳格化されました。同時に、ビンテージ(収穫年)表記も、特定の生産地のブドウを85%以上使用していない場合は、エチケット(ラベル)に表記できません。

国内においても、ブランドにワインの品質と産地の個性を反映する流れになって来たことがわかります。

しかし、フランスのテロワールとの大きな違いは、ブドウの生産地と醸造地が自治体単位で一致するよう考えられているということです。

したがって、例えば「勝沼ワイン」と表記する場合、

  • 勝沼でつくられたブドウを甲州市内で醸造
  • 甲州市に隣接する山梨県内の市町村で醸造

以上の場合が、「勝沼ワイン」と表記可能になります。

喜ばしいことでもありますが、気候・標高・土壌などを狭小に区分したテロワール本来の考え方と異なり、行政区分で厳密に分けられていることが問題視されている側面もあるようです。

抜本的な法改正の背景には、海外産の輸入ワインを国産ワインと混ぜて売っていたことや、輸入濃縮ブドウジュースを醸造したなんちゃって国産ワインが横行したことなどが挙げられます、ブランド保全というよりは消費者保護の色合いが反映されたのでしょう。

消費者の立場からすれば、喜ばしい改正ですが、ワイン原料となるブドウの生産量がまだまだ少ない国内事情からすると、醸造地の一致は一部のワイン醸造者にとってはブドウの調達がより困難な状況を招きかねないと心配されています。

まとめ

ワインはブドウが原料です。ところがおもしろいことに、レストランやお店で買ったワインを飲むと、同じシャルドネ品種のワインなのに味が全く異なることに気が付きます。
ブドウは、どこで育ったかによってその味や個性が大きく異なる果実であることがその原因となります。それだけに、このテロワールという概念が、ワインの個性や味を見極める上でとても重要になってくるのです。

企画:ワインノート編集部
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