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日本ではなかなか見かけることができないモロッコワイン。そもそもモロッコってどこ?という方も多いと思います。
改めまして、この記事を書かせていただいているモロッコ在住日本人、ラザーンと申します。「ネコと旅するモロッコ案内人」というblogを書いております。
ワイン好きが高じてモロッコワインをご紹介させていただくことになりました。
本記事では、実はモロッコではおいしいワインが造られているということをご紹介したいと思います。
モロッコは北アフリカに位置し、国教がイスラム教の国です。
モロッコ王国情報
-外務省モロッコ基礎データより-
国名:モロッコ王国
面積:44.6万平方キロメートル(日本の約1.2倍,西サハラ除く)
人口:3,603万人(2018年 世銀)
首都:ラバト
民族:アラブ人(65%),ベルベル人(30%)
言語:アラビア語(公用語),ベルベル語(公用語),フランス語
宗教:イスラム教(国教)スンニ派がほとんど
イスラム教ではアルコールがタブーとされています。
そのような国で、なぜワインが造られているのでしょうか?
モロッコの地形や気候、そして歴史を紐解くとその謎が解明されます。
モロッコは北アフリカで、西は大西洋、東は地中海に面した縦に長い国です。
モロッコ、アルジェリア、チュニジアにまたがってアトラス山脈が連なっており、全長2,500km、最高峰は4,167mあります。この山脈が、大西洋と地中海、そしてサハラ砂漠を隔てています。
それによってモロッコ内では多彩な地形が生まれ、場所ごとに気候が変化します。
モロッコ南部は灼熱のサハラ砂漠が広がり、中部から北部は地中海性気候の影響を受け、ヨーロッパの気候に近く、ワイン造りに適した環境が揃います。
気候だけでなく、都市ごとに街の雰囲気も変わるため、世界中から観光客が訪れます。
モロッコの地域でブドウ栽培が確立されたのは、古代ローマ時代と言われています。
そして、大規模なブドウ栽培が導入されたのはフランスの入植者の影響でした。
しかし、1956年に国が独立した後は、貿易面やブドウ畑の取り扱いが不十分で、衰退していました。
1990年代になって、当時の王様ハッサン2世の支配下で、モロッコのワイン生産は外国、主にフランスからの投資とノウハウによって改善されていきます。
そして、ボルドーを拠点とするいくつかの大手ワイン会社が、モロッコとパートナーシップを結び、モロッコのワイン産業の復興へと導きました。
モロッコの法律では、ビールとアルコールの生産に対しては禁止されていませんが、イスラム教徒への販売は禁止されています。
したがって、一般的に販売されている箇所は極わずか、都市の大手外資系スーパーマーケットや一部の外国人向けのレストランやホテルに限られています。
これらは主に観光客や外国人向けの対応とされています。
ラマダン期間に入ると、お酒売り場がクローズされることもあります。
モロッコで生産されるワインは、こうした国内の僅かなマーケットと、一部のフランスへの輸出がメインです。
モロッコワインがまだまだ知られていないのは、こういった流通事情の影響が伺えます。
今回は私がよく飲んでいるワインを2本ご紹介します。
2本とも同じワイナリーのワインです。
モロッコで最も歴史が長く、ワイン造りにも定評があると言われているDomaine des Ouled Thaleb。
1923年に、ベルギーの金融グループがカサブランカから北東50kmにあるベンスリマネという地域に3000ヘクタールの土地を購入してブドウの木を植えたことから始まります。
モロッコは、なんと言っても安定した気候と土壌の性質から、良好な熟成を保証すると言われています。
まず一本目はこちらのCP。モロッコ国内で、安価でおいしいと評判が良いワインです。
フルーティーで軽めのスパイスを感じ、全体的にはまろやかな味わいです。
マイルドなモロッコの肉料理に合いますので、私はモロッコの名物料理、クスクスに合わせていただきました。
ワイナリー:Domaine des Ouled Thaleb
ワイン名:CP Cuvée du Président Cabernet
ブドウ品種:Merlot, Tempranillo, Cabernet Sauvignon, Grenache
地方:Morocco / Meknès / Guerrouane
クスクスとは、小麦粉(黄色のセモリナ粉)から作る粒状の粉食のことをいいますが、料理名としても「クスクス」と呼びます。
発祥地は北アフリカ(モロッコ・チュニジア・アルジェリア)で、クスクスの上には煮込んだ野菜と肉をトッピングしていただきます。最もモロッコ人が大好きな料理です。
モロッコではクスクスは毎週金曜日のお昼のお祈りの後に家族皆で食べる習慣があります。
真ん中に牛肉や鶏肉を置き、その上に煮込み野菜を置きます。
今回は羊肉にしました。
飲みやすいという点と、やさしいピンク色に惹きつけられて、いつも手にとってしまう大好きなロゼワインです。
すっきりとフルーティーな味わいと、この美しい色は、特に女性の心を鷲掴みにするワインだと思います。
メルローから造られたワインで、他のワインよりは少しお値段が上がるのですが、ちょっとした自分へのご褒美におすすめです。
私はスパイシーなソーセージとポテトのグリルに合わせていただきました。
ワイン名:De Siroua Vin Rose Du Maroc
セラー:Cave de Benslimane
ワイナリー:Domaine des Ouled Thaleb
Morocco /Meknès / Guerrouane
モロッコではアルコールがタブーとされているので、大手スーパーでも、アルコール売り場は地下であったり、売り場が別に分けられていたりと、買うのを見られないように配慮されています。
また、お酒が見える状態で街を持ち歩くのも、イスラム教を侮辱する罪で捕まります。
お酒を買うときは、お酒が入るカバンをもって、隠しながら買う必要があります。
日本と比較するとアルコール好きには不便ではありますが、若干背徳感を感じつつもワインを手に入れた暁にはワインの美味しさもひとしおです。
ワイングラスもなかなか手に入れるのが難しいお国柄ですが、日本でお目にかかれないレアなモロッコワインがたくさんありますので、今後も少しずつレポートしていきたいと思います!
ワインの人気が高まっています。国民一人当たりのアルコール消費量が年々減少する中、ワインはこの30年で約4倍に消費が増えました。とはいえ、アルコール全体で言えば、果実酒のシェアが4.4%ですから、ビールやハイボールに比べると、随分少なく感じます。
そんなポジションのワインですが、世界中で生産されるワインは、種類も豊かで、食事を楽しむあらゆるシーンで、ごはんをもっと美味しくしてくれる魅力に富んだお酒です。
ワインノートでは、もっと気軽にワインを美味しく楽しんでいただけるよう、ワインの基礎知識をはじめ、美味しいワインの情報をご提供いたします。