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2020年10月14日

ボジョレー・ヌーヴォーの基本知識と人気の秘密

ボジョレー・ヌーヴォーの基本知識と人気の秘密

今やコンビニでさえ、毎年当たり前のように出回るフランスワイン、ボジョレ・ヌーボー。ボジョレー地方の新酒を、ボジョレー・ヌーヴォーといいます。ヌーヴォーとはフランス語で「新しいもの」を意味しており、今年収穫したブドウで作った新酒が、解禁日を前に今年も変わらず世間の注目を集めているようです。

ボジョレ・ヌーボーってどんなワイン?

フランスのボジョレー地方は、フルーティーでタンニンが少ないブドウ品種ガメイ種が多く栽培されており、飲みやすいワインが主流です。
ガメイというブドウから作られたワインの新酒は、複雑なアロマが育つ時間がないため、軽くシンプルな味わいの赤ワインになります。したがって、ボジョレー地方でも「ヌーヴォー」以外のワインは、ブドウの収穫年に流通することはなく、翌年以降からしか飲むことはできません。

ヌーヴォーはじっくりとワインを楽しむためというより、毎年11月の第3木曜に指定される解禁日に、今年も無事にブドウが収穫されたことを皆でお祝いするための位置づけでのもので、実際は毎年収穫されたブドウ品質をはかるための試飲用ワインだったのです。

ボジョレー・ヌーボーの作り方

ボジョレー・ヌーヴォーは、通常のワインと違って、ブドウの収穫後に果実を破砕・攪拌(かくはん)するなどして発酵しやすくする作業は行わず、マセラシオンカルボニック製法といわれる二酸化炭素浸漬法をつかって作られています。

マセラシオンカルボニック製法とは?

  1. ブドウの房を丸ごと発酵タンクに詰め込む
  2. 詰め込まれたブドウの重みを利用して下に詰め込まれたブドウを押しつぶす。
  3. つぶれたブドウが自然発酵し、発酵タンクの中に炭酸ガスが発生・充満し、数日間炭酸ガスの中に漬け込んでおく。
  4. 二酸化炭素は酸素よりも比重が重いので、タンクの下部に溜まるため、ブドウが酸素との接触が絶たれて酸化が抑制された状態で、自然に発酵が進んでゆきます。酸化が絶たれるために、とてもフルーティーなワインに仕上がってゆきます。
  5. 圧搾して白ワインと同じように果汁だけで発酵を進ませる。
  6. ボトリング

なぜ解禁日があるの?

前項の作り方にあるように、9月に収穫されたブドウを、わずか2か月間で仕上げたワインがボジョレー・ヌーヴォーです。
その味わいは、フレッシュで果実味があり、とても口当たりがよく世界的に人気が高まっていきました。そのため、業者間で早出し競争が起こり始めたり、混ぜ物問題や完熟ブドウを使っていないものが流通してしまうなどかつてのフランスワインに起こったような問題が発生します。

そうした品質とブランドの低下を抑止するために、国が法律で解禁日を指定したのです。
その日が、毎年11月の第三木曜日となったのです。

どうしてそんなに人気なの?

ボジョレー・ヌーヴォー どうしてそんなに人気なの?

いまや日本国内ではもっとも有名なワインの一つとなってしまったボジョレー・ヌーヴォー。しかし、本来のワインが持っている味わいや魅力を楽しんでいただくために出荷されたものではありません。フランスから日本に輸入されるボジョレー・ヌーボーは、全世界に出荷される総量のおよそ1/4といわれています。どおりでコンビニでもフランスワインの新酒が当たり前に買えるワケです。

どうしてそんなに人気なのでしょうか?

日本で大騒ぎされる秘密は時差にあります。日本は本国フランスよりも解禁するタイミングが早いのです。

  • 世界でいち早く!
  • 旬が大好き!
  • 新しいもの大好き!

そんな日本人の感性にぴったりはまったのかもしれません。が、なんとなく当時のマスコミが行っていた過熱報道にも要因があったのではないでしょうか。

しかし、現地では300円~400円で売られているようなヌーヴォーも、解禁日に間に合わせるために、空輸されたものは、2000円前後で売られることになり、品質と価格が見合っていないために、「ボジョレー・ヌーヴォーは美味しくない」といわれることもしばしば。

実際に、多くのフランス人や海外メディアの意見としては、
「日本人は味覚が鋭敏なのに、どうしてあんなひどいワインが人気なの?」
といった意見もあるようですね。

こればっかりは、みなさんの価値観の問題ですが、編集部としては、「縁起物」として楽しむもよし、「ネタ」として楽しく乾杯するもよしなのでは?そんな風に、楽しみ方を模索するほうが面白いなと考えています。

どんな料理がおすすめなの?

ボジョレ・ヌーヴォーは軽い飲み口のフレッシュでさっぱりした味わいの赤ワインです。平たく言えば、ちょっとすっぱいブドウのお酒。から揚げやコロッケ、焼き鳥などのみんなが大好きな居酒屋メニューにぴったりだと思います。筆者の個人的な経験を申し上げると、たこ焼き、ソース焼きそば、もんじゃ焼き、お好み焼きのジャンク感に、これほどマッチするワインは無いんじゃないかな思っています。

ボジョレー・ヌーヴォー以外のボジョレーワイン

ちなみに、ボジョレー・ヌーヴォーを1年寝かして飲むとおいしい、なんて話もありますが、それはそうでしょうねとは思います。しかし本末転倒、何のためのヌーヴォーなのだかわからなくなってしまいますし、美味しいボジョレーが飲みたいのであれば、ヌーヴォーでないボジョレーを買ったほうが安くてはるかにおいしいですよ。

しっかり熟成されたワインなら、10年以上熟成される長期熟成型のクリュ・デュ・ボジョレー。軽めの食中酒ならボジョレー・ヴィラージュ。など、価格も手ごろで幅広く楽しめるワインがボジョレーにはたくさんありますよ。

企画:ワインノート編集部
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